朧げな何か

無意識にアクセスしたいと歩き回る日々

廃寺探訪〜龍福寺〜



「大和三龍寺」の一つ真言宗・龍福寺。現在の奈良県天理市にあったとされる寺で明治期の廃仏毀釈により廃絶。かつては東西1,100m、南北660mという広大な領域に16の僧坊が配された大寺院だったという。ちなみに「大和三龍寺」のうち現在も存続しているのは、竜蓋寺といわれた明日香村の岡寺だけである。

奈良時代の高僧・義淵により建立され、義淵の弟子で大仏建立に尽力した行基、弘法大師空海によって伽藍が整えられたという。近くには物部氏の総氏神社・石上神宮があり、義淵や空海物部氏と同祖伝承を有する阿刀氏ゆかりの人物。廃仏を唱え蘇我氏と争った物部氏と因縁浅からぬ寺であった点が興味深い。

国見山ハイキングコースの一部として道・案内板は整備されている。

石上神社

まず見えてきたのが石上神社へと至る真っ直ぐに伸びた石段。境内には石仏、巨石がゴロゴロ転がっていた。石上神宮の元社ともいわれているが、高野山における丹生都比売神社的なものだったのではないかと思われる。
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桃尾の滝

石上神社から急坂をしばらく登ると桃尾の滝がある。桃尾の滝は現在でも滝場として有名なようで、毎年行われる滝開き行事後には、滝行に励む行者の方で賑わう。私が訪れた時にも、一人の男性が滝行をしておられた。白龍大神ほか複数の龍神をお祀りする滝で、行場には不動三尊磨崖仏など石仏も散見。神仏習合の名残が感じられる場であるが、ここはもう民間行者の場であるとも感じられた。
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大親寺

桃尾の滝から勾配のきつい急坂をさらに進むと、龍福寺の阿弥陀堂跡に大親寺という寺がある。真言宗の寺だった龍福寺とは違い、大親寺は「報親教」という宗派?新宗教?に属している。報親教について少し調べてみたが、大阪府大阪市阿倍野区にある「報親教本部」なる単立の仏教系宗教法人に行き着くものの、その先からまったく情報が辿れない。
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石仏

大親寺へと至る道すがら、またはその周辺には数多くの石仏、石塔が打ち捨てられるように存在していた。かつてここに存在していた龍福寺という大寺を偲ばせる数少ない「証拠」かと思われる(最近のものもあるので注意が必要)。
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日本山妙法寺 仏舎利塔

大親寺から国見山の頂上へと至る山道を少しいくと、「←日本山妙法寺」なる案内板がある。荒れた道を結構登らされると、石垣が見え突然開かれた土地が現れる。そこには……

日蓮宗系の宗教団体・日本山妙法寺大僧伽が建立した世界平和塔(仏舎利塔)があった。インド・ネルー首相より贈られた仏舎利を納めた仏塔だとのことで、日本や世界各地に建立されているとのこと。

仏舎利塔の近くには家屋があり、農業や養蜂を試みた痕跡が見受けられたが、現在では放置されている模様。太陽の光がよく当たるように建てられているのか、妖しいほどに光り輝いていたのが印象的だった。

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フィールドワークを終えて

国見山と現在ではそう呼ばれている山の麓にかつて存在した龍福寺。神道修験道系の民間行者、新宗教の報親教、日本山妙法寺大僧伽などカオスな様相を呈する中、ハイキングコースの傍にある石仏や石塔だけが辛うじて龍福寺がここにあったことを証明していたように思う。
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神仏分離の衝撃

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既存の歴史を根底から覆す三部作最終巻

物部氏の正体 (新潮文庫)

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