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朧げな何か

無意識にアクセスしたいと歩き回る日々

やはり一番恐ろしいのは人間

読書


狩猟や林業など山関係の仕事に従事している人々の不思議な体験を収録した書籍『山怪 山人が語る不思議な話』。

山怪 山人が語る不思議な話

山怪 山人が語る不思議な話

狐火、異音、神隠し、巨大な蛇など奇怪な現象に遭遇した人々の話が続く中、「勝手知ったる山なのに道に迷う」という事案も結構あるのだなと。いわゆる「狐に化かされた」事案。しかし、とあるリアリストがこう言い放つ。

第一妙なことがあるとみんな狐のせいにすっけど、それは自分の間違いを狐におっかぶせているだけだって

なぜ、狐のせいにしなければならないのか?「自分の不注意で道に迷いました。お手数をおかけして申し訳ございません」ではダメなのか。リアリストは次なる言葉をつなげる。

無事見つかるべ、大勢の人に迷惑かけてるんだよな。そん時に狐にやられたって言えば誰もそれ以上は何も言えねべ?都合の悪いことは全部狐のせいよ

以上の証言を受けて、ここからは僕の勝手な推測。

閉鎖的なかつての山村では、厳しい環境下でみな自分や自分の家族のことで手一杯。そのような環境下の元で他の者を助けるというのは余程の労力を要するもの。

よって、人様に迷惑をかけるということは「どうしようもない負い目」を一生涯背負うということであり、下手をすれば「村八分」の対象にすらなる可能性がある。

「狐のせいにする」ということは閉鎖的な山村では「有効な処世術」の一つなのだと。やはり一番恐ろしいのは狐ではなく「人間」あるいは「社会」、ということだろうか。

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