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朧げな何か

無意識にアクセスしたいと歩き回る日々

「引きの写真」をもう少し



写真を掲載している、いわゆるフォトブログをつらつら見て思ったのは、「寄りの写真が多いなあ」ということ。

説明的な写真ではどうしても「寄りの写真」は必要だし(食べ物とかペットとか)、離れている被写体を簡単に引き寄せることができるズームレンズの高性能化、「写真は引き算」なる哲学の流布、スマホ全盛時代による閲覧画面の縮小化なども、「寄りの写真」全盛の時代により拍車をかけているのではないかと思われる。

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まあ、こんなカワイイ子猫に見つめられたら、そりゃ「寄り」で撮りたくもなりますわな。

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人慣れした奈良の鹿さんは、近づいても逃げません(もちろん、逃げる鹿さんもいますが)。

そんな鹿さんに甘えて、どうしてもバシャバシャと「寄りの写真」を大量生産することに。

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でも、そこをぐっとこらえて「引き」で写真を撮ろうと意識してみる。

鹿さん達以外にも色んなものを写し込んで「足し算」の写真に。

酷の言い方ですが鹿さん達が「物体化」し、車や木漏れ日など他のものと「等価」の関係へ。

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また、引きで撮った松ぼっくりの写真を並べることにより、松ぼっくりを鹿さんのフンではないか、と見る人の主観によって被写体を「異化」させることも可能。

どうしても弱々しい感じがする「引きの写真」は確かに「寄りの写真」に比べ強度はないかもしれないが、案外「多様」なもの。

野口里佳

ドイツを拠点に活動されている写真家・野口里佳さん。最近では揖保乃糸のCMにも出演なされてますね。

野口さんは作品によってカメラや作風が変わる写真家なのですが、それでも初期の『城ヲ』『創造の記憶』、代表作の『鳥を見る―野口里佳作品集』などで示された「引きの写真」が印象的。

鳥を見る―野口里佳作品集

鳥を見る―野口里佳作品集

野口さんの場合、「引き」だけでなく徹底的に「引き算」の写真(場所)なので、一見繊細なイメージながらも見れば見るほど「強度」を感じさせます。シンプルなものほど強いのだと。

写真集の方はお値段が高くなかなか手が届きませんが、下記のムックでは野口さんを特集しており、インタビューやら野口さんの作品を横断的に眺めることができるのでオススメです。

PHOTO GRAPHICA 2011 SPRING Vol.21 野口里佳 (インプレスムック)

PHOTO GRAPHICA 2011 SPRING Vol.21 野口里佳 (インプレスムック)